日曜日日曜日 僕には小さい頃不思議な能力があった。 毎週日曜日だけの不思議な能力だ。 日曜日の朝、僕はその日見た夢を必ず覚えている。 今日の夢は、机引き出しに隠しているバタフライナイフを持ち、 家から出て行きしばらく歩く。 しばらく歩くと道端に白のワゴン車が止まっていて、 そのワゴン車には 「タイヤに穴をあけて」という張り紙が張ってあった。 ここで目が覚めた。 昼、僕はバタフライナイフを持ち出し外に出てしばらく歩いた。 しばらく歩くと夢で見たワゴン車が止まっていた。 「・・・・・これか。」 僕は少しためらったが回りの人が僕を見てないことを確認して、 持っていたナイフでそのワゴン車のタイヤに穴を開けた。 そのあと僕は安全距離をたもち、その車の様子をうかがった。 少し経つと中から覆面をかぶった三人組が出てきて、 近くの銀行に入っていった。 しばらく経つと中から大きな袋を持った三人組が出てきて、 ワゴン車に乗り、急発進で出て行こうとした。 だがその急発進が命取りだった。 ひとつのタイヤの空気が抜けているため、 バランスを崩したワゴン車は近くの電柱にぶつかった。 すぐに警察が来て運転手とさきほどの三人は手錠をかけられ、 パトカーに乗せられていった。 僕はその日の夜にテレビをつけニュースを見た。 「今日昼過ぎに××町の××銀行が強盗に襲われました。 犯人は現金一千万ほどを奪い逃走を謀りましたが、 タイヤに人為的に穴があけられており、 その穴のせいで犯人は逃走に失敗。 まもなく駆け付けた警察によって取り押さえられました。 警察はこのタイヤにあけられた穴は誰かのいたずらと見ており、 よかったのか、悪かったのかと悩ましげに会見を行なっていました。」 「まったく世の中不思議だな。」 父さんの一言に僕は、 「ほんとに。」 と答えた。 僕はこの能力、正夢を悪いことに使おうとは思わない。 そして人に自慢してもいけないと思う。 これが、僕がこの能力を知ってから必死に悩んで出した結論だ。 人は誰でも悪に走る、だがこの悪を少しづつでも止めていかないと この世界は壊れてしまう。 だがその自覚は今の人間社会には薄れている。 僕はこの人間社会が壊れないように行動する。 少しづつでも・・・・・。 壊れていく人間社会、 僕は正夢で見た、壊れた人間社会にならないよう、 また今日も活動する。 |