045801 ランダム
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日曜日

       

      日曜日

 
 僕には小さい頃不思議な能力があった。
 毎週日曜日だけの不思議な能力だ。
 


 日曜日の朝、僕はその日見た夢を必ず覚えている。
 今日の夢は、机引き出しに隠しているバタフライナイフを持ち、
家から出て行きしばらく歩く。
しばらく歩くと道端に白のワゴン車が止まっていて、
そのワゴン車には
「タイヤに穴をあけて」という張り紙が張ってあった。

ここで目が覚めた。


 昼、僕はバタフライナイフを持ち出し外に出てしばらく歩いた。
 しばらく歩くと夢で見たワゴン車が止まっていた。
「・・・・・これか。」
僕は少しためらったが回りの人が僕を見てないことを確認して、
持っていたナイフでそのワゴン車のタイヤに穴を開けた。
そのあと僕は安全距離をたもち、その車の様子をうかがった。
少し経つと中から覆面をかぶった三人組が出てきて、
近くの銀行に入っていった。

しばらく経つと中から大きな袋を持った三人組が出てきて、
ワゴン車に乗り、急発進で出て行こうとした。
だがその急発進が命取りだった。
ひとつのタイヤの空気が抜けているため、
バランスを崩したワゴン車は近くの電柱にぶつかった。
すぐに警察が来て運転手とさきほどの三人は手錠をかけられ、
パトカーに乗せられていった。

僕はその日の夜にテレビをつけニュースを見た。
「今日昼過ぎに××町の××銀行が強盗に襲われました。
犯人は現金一千万ほどを奪い逃走を謀りましたが、
タイヤに人為的に穴があけられており、
その穴のせいで犯人は逃走に失敗。
まもなく駆け付けた警察によって取り押さえられました。
警察はこのタイヤにあけられた穴は誰かのいたずらと見ており、
よかったのか、悪かったのかと悩ましげに会見を行なっていました。」

「まったく世の中不思議だな。」
父さんの一言に僕は、
「ほんとに。」
と答えた。
僕はこの能力、正夢を悪いことに使おうとは思わない。
そして人に自慢してもいけないと思う。
これが、僕がこの能力を知ってから必死に悩んで出した結論だ。


人は誰でも悪に走る、だがこの悪を少しづつでも止めていかないと
この世界は壊れてしまう。
だがその自覚は今の人間社会には薄れている。
僕はこの人間社会が壊れないように行動する。
少しづつでも・・・・・。


壊れていく人間社会、
僕は正夢で見た、壊れた人間社会にならないよう、
また今日も活動する。



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