046962 ランダム
 HOME | DIARY | PROFILE 【フォローする】 【ログイン】

日曜日

       

      日曜日

 
 僕には小さい頃不思議な能力があった。
 毎週日曜日だけの不思議な能力だ。
 


 日曜日の朝、僕はその日見た夢を必ず覚えている。
 今日の夢は、机引き出しに隠しているバタフライナイフを持ち、
家から出て行きしばらく歩く。
しばらく歩くと道端に白のワゴン車が止まっていて、
そのワゴン車には
「タイヤに穴をあけて」という張り紙が張ってあった。

ここで目が覚めた。


 昼、僕はバタフライナイフを持ち出し外に出てしばらく歩いた。
 しばらく歩くと夢で見たワゴン車が止まっていた。
「・・・・・これか。」
僕は少しためらったが回りの人が僕を見てないことを確認して、
持っていたナイフでそのワゴン車のタイヤに穴を開けた。
そのあと僕は安全距離をたもち、その車の様子をうかがった。
少し経つと中から覆面をかぶった三人組が出てきて、
近くの銀行に入っていった。

しばらく経つと中から大きな袋を持った三人組が出てきて、
ワゴン車に乗り、急発進で出て行こうとした。
だがその急発進が命取りだった。
ひとつのタイヤの空気が抜けているため、
バランスを崩したワゴン車は近くの電柱にぶつかった。
すぐに警察が来て運転手とさきほどの三人は手錠をかけられ、
パトカーに乗せられていった。

僕はその日の夜にテレビをつけニュースを見た。
「今日昼過ぎに××町の××銀行が強盗に襲われました。
犯人は現金一千万ほどを奪い逃走を謀りましたが、
タイヤに人為的に穴があけられており、
その穴のせいで犯人は逃走に失敗。
まもなく駆け付けた警察によって取り押さえられました。
警察はこのタイヤにあけられた穴は誰かのいたずらと見ており、
よかったのか、悪かったのかと悩ましげに会見を行なっていました。」

「まったく世の中不思議だな。」
父さんの一言に僕は、
「ほんとに。」
と答えた。
僕はこの能力、正夢を悪いことに使おうとは思わない。
そして人に自慢してもいけないと思う。
これが、僕がこの能力を知ってから必死に悩んで出した結論だ。


人は誰でも悪に走る、だがこの悪を少しづつでも止めていかないと
この世界は壊れてしまう。
だがその自覚は今の人間社会には薄れている。
僕はこの人間社会が壊れないように行動する。
少しづつでも・・・・・。


壊れていく人間社会、
僕は正夢で見た、壊れた人間社会にならないよう、
また今日も活動する。



© Rakuten Group, Inc.
X